ワーキングプアー

企業が収益を上げるためには収入を上げることと費用を下げることです。そのうち企業内で確実にできることは費用を下げることです。仕事の見直しや機械化による自動化により生産性を上げることは、当初は生産の増加に結びつき収入の増加となっていましたが、生産が販売に結びつかなくなれば生産人員の減少として費用を下げる方向に向かいます。
アメリカから始まった企業のグローバル化により国内に生産拠点を持つ意味がなくなり、よりコストを下げられる地域への工場の移転が始まりました。一企業だけでなく多くの人たちが関わって作り上げてきた生産手段のノウハウが一企業の収益のために移転されたのです。
日本の多くの企業もこの流れで多くの技術を移転してしまいました。中国を始め東南アジアに多くの日本企業が資本を出し工場を立地しています。今では国内でしか作れないものは、人の熟練による生産されるもの、技術開発が伴う最先端なもの、まだ外に技術移転していないものなどに限られています。
今まで工場で働いていた人たちは解雇されなくても、新規雇用はなくなります。働き手が余ってしまっているのです。新たな働き先を作らなければなりません。それは国の最重要課題で防衛などこの問題からすると優先度の低いことなのです。しかし、国を方向付ける人たちは、国の防衛が重要で、新たな雇用、新たな産業の創設など民間の行うことと何も問題視していないのです。行っていることは、派遣という雇用形態を認めたこと(派遣という労働供給事業は本来法律で禁止されていました)、新たな職種に適応できるようにとの形だけの労働教育、筋違いの方策で労働条件は低下するのみです。